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お役立ち情報

福祉の豆知識: はじめに

日常の診療の場で、しばしば、福祉及び介護保険制度に関するいろいろな問題の相談を受ける場面が生じます。このような場合、通常、まず社会福祉士あるいは病院のソーシャルワーカーが、患者さまの身体や精神の障害あるいは環境上の理由などによる日常生活を営む上での支障をうかがいます。そして、福祉に関する相談援助を行なったり、公的助成制度の活用に関するアドバイスを行ったり、介護施設への入所など施設との連携に対応します。

当院ではまだソーシャルワーカーは常駐していませんが、少しでも患者さまのお役に立てればと思い、当院のホームページに「福祉の豆知識」のページを作りました。どうかご利用ください。

なお、この「福祉の豆知識」のページを作るにあたっては、医療福祉2010年度版総合ガイドブック (編集NPO法人日本医療ソーシャルワーク研究会 医学書院)を参考にしています。
また「障害」の表記については、「しょうがい」と表記が変更されつつありますが、本ホームページでは「障害」と表記させて頂きます。(本内容は平成22年12月現在のものです)

福祉の豆知識: 第1章 国あるいは地方自治体による社会保障

1.社会保障のしくみ

病気やケガ、要介護、失業、老化など、私たちを取り巻くさまざまなリスクから暮らしを守る社会的なしくみ、それが社会保障です。
誰もが自分や家族の身に健康面や経済面での不安が生じる可能性を抱えて暮らしています。社会保障は、個人の努力だけでは解決しきれない問題に対して、国や地方白治体とさまざまな社会の構成員とで連帯して支え合おうという、いわば人類の英知によって、長い歳月をかけて構築されてきたものです。

この社会保障は、多岐にわたる制度の束から成り立っており、それぞれの制度の根拠法令や守備範囲が異なるため、全体として非常に複雑な構成になっていますが、次の図1に示されているように、人のライフステージの各段階にさまざまな形で対応しています。

医療福祉2010年度版総合ガイドブック(編集NPO法人日本医療ソーシャルワーク研究会 医学書院)引用

2.社会保障制度を利用するための窓口

社会保障制度を利用するためには、国や自治体の窓口で働く支援者に相談することが第一ですが、他に、病院の中にも支援してくれる人がいます。「医療ソーシャルワーカー」です。病院内の「医療相談室」、「医療ソーシャルワーカー室」、「地域医療連携室」などに配属されています。介護老人保健施設では「介護支援専門員(ケアマネージャー)」が担当しています。

具休的には,次のような相談・支援を行います。

医療費や生活費などの経済的な問題の支援
療養に伴って起こる心理的・社会的な問題への支援
どのように治療を受けたらよいかという問題への支援
退院・退所に伴い生ずる諸問題の相談・支援
就職、復職、復学、在宅療養といった社会復帰・社会参加への支援
患者会やネットワークづくりなどの地域支援活動
※大島眼科病院には「地域医療連携室」(サイトは工事中)が設置されています。ご利用ご希望の方はスタッフに声をかけてください。

福祉の豆知識: 第2章 従来の「障害者」に関する法律

1.障害者の言葉の定義

平成5年12月に心身障害者対策基本法が障害者基本法に改正され、「心身障害者」という言葉はなくなり、「障害者」とは「身体障害、知的障害又は精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者」と定義されました。以後、わが国の障害者の福祉施策は、三つ障害(身体障害、知的障害、精神障害)を対象とするようになりました。よって障害者基本法では障害者は、身体障害者(児)、知的障害者(児)、精神障害者に分けられ論じられています。

一方、障害者の手帳制度は次の法律により別に定められています。身体障害者には身体障害福祉法により身体障害者手帳が発行され、精神障害者には精神保健及び精神障害者福祉に関する法律により精神障害者保健福祉手帳が発行されます。

2.身体障害

身体障害者とは、身体障害者福祉法において法律で定める一定以上の身体障害がある18歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう、と定義されています。医療としては更生医療制度が受けられます。現在、更生医療は自立支援医療制度が適応されています。
身体に障害のある児童または現状を放置すれば将来障害を残すと認められる18歳未満の児童(先天性および後天性の心臓障害、腎臓障害ならびに先天性内臓障害を含む)の場合も、身体障害者と同様に、身体障害者手帳が交付されます(身体障害児と呼ばれる)。医療としては指定医療機関で治療を受ける費用を公費で負担する育成医療制度があります。
現在、育成医療は自立支援医療制度が適応されています。

3.知的障害

児童相談所または知的障害者更生相談所において、知的障害と判定された人が知的障害者(児)となります。障害程度は A(最重度・重度)、B(中度・軽度)の2種類に判定されます。知的障害者(児)に対しては、一貫した指導相談や援助措置を受けやすくするため、療育手帳が交付されます。しかし知的障害者福祉法に知的障害者に対する療育手帳発行の記述はなく、1973年に当時の厚生省が出した通知「療育手帳制度について」に基づき各都道府県知事(政令指定都市の長)が知的障害と判定した方に発行しています。障害の程度などが記載され、各種福祉サービスを利用しやすくするための手帳です。医療費の公的負担の制度はありません。

4.精神障害

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律により精神障害の状態にある人に精神障害者保健福祉手帳が交付されます。

交付によって、各機関の協力を得て各種の支援策を行われやすく、精神障害者の社会復帰の促進と自立と社会参加の促進が図られます。

手帳の活用で、通院医療費は通院医療費公費負担制度によって公費負担となります。現在、通院医療費公費負担制度は自立支援医療制度が適応されています。

福祉の豆知識: 第3章 新しい障害者自立支援法

1.障害者自立支援法の成立

「障害者自立支援法」が2005(平成17)年に成立し、2006(平成18)年4月から実施されています。これまで、身体・知的・精神の障害ごとに異なっていたこれまでの福祉サービスを一元化し、利用者に原則1割の負担を求めることなどを柱とする法律です。ただ、民主党政権は、2009(平成21)年10月、障害者自立支援法を廃止し、新法「(仮称)障害者総合福祉法」の制度化を明言しました。遅くとも2013(平成25)年8月までに「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、利用者の応能負担を基本とする総合的な制度をつくることとされています。

2.障害者自立支援法のポイント

障害の種別(身体障害・知的障害・精神障害)にかかわらず、障害のある人々が必要とするサービスを利用できるよう、サービスを利用するための仕組みを一元化し、施設・事業を再編
障害のある人々に、身近な市町村が責任をもって一元的にサービスを提供
サービスを利用する人々もサービスの利用量と所得に応じた負担を行うとともに、国と地方自治体が責任をもって費用負担を行うことをルール化して財源を確保し、必要なサービスを計画的に充実
就労支援を抜本的に強化
支給決定の仕組みを透明化、明確化

3.障害者自立支援法によるサービス内容

障害者自立支援法によるサービスは、個々の障害のある人々の障害程度や社会活動や介護者・居住等の状況をふまえ、個別に支給決定が行われる「自立支援給付」(「障害福祉サービス」)と、市町村の創意工夫により、利用者の方々の状況に応じて柔軟に実施できる「地域生活支援事業」に大別されます。

1)「自立支援給付」(「障害福祉サービス」とも呼ばれます)

事業名 内容
介護給付
居宅介護
(ホームヘルプ)
自宅で、入浴、排せつ、食事の介護等を行います
重度訪問介護 重度の肢体不自由者で常に介護を必要とする人に、自宅で、入浴、排せつ、食事の介護、外出時における移動支援などを総合的に行います
行動援護 自己判断能力が制限されている人が行動するときに、危険を回避するために必要な支援、外出支援を行います
重度障害者等包括支援 介護の必要性がとても高い人に、居宅介護等複数のサービスを包括的に行います
児童デイサービス 障害児に、日常生活における基本的な動作の指導、集団生活への適応訓練等を行います
短期入所
(ショートステイ)
自宅で介護する人が病気の場合などに、短期間、夜間も含め施設で、入浴、排せつ、食事の介護等を行います
療養介護 医療と常時介護を必要とする人に、医療機関で機能訓練、療養上の管理、看護、介護及び日常生活の世話を行います
生活介護 常に介護を必要とする人に、昼間、入浴、排せつ、食事の介護等を行うとともに、創作的活動又は生産活動の機会を提供します
施設入所支援
(障害者支援施設での夜間ケア等)
施設に入所する人に、夜間や休日、入浴、排せつ、食事の介護等を行います
共同生活介護
(ケアホーム)
夜間や休日、共同生活を行う住居で、入浴、排せつ、食事の介護等を行います
訓練等給付
自立訓練
(機能訓練・生活訓練)
自立した日常生活又は社会生活ができるよう、一定期間、身体機能又は生活能力の向上のために必要な訓練を行います
就労移行支援 一般企業等への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います
就労継続支援
(A型=雇用型、B型)
一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います
共同生活援助
(グループホーム)
夜間や休日、共同生活を行う住居で、相談や日常生活上の援助を行います

2)「地域生活支援事業」(市町村事業と都道府県事業に分けられます)

事業名 内容
市町村事業
相談支援事業 障害のある人、その保護者、介護者などからの相談に応じ、必要な情報提供等や権利擁護のために必要な援助を行います
また、自立支援協議会を設置し、地域の相談支援体制やネットワークの構築を行います
コミュニケーション支援事業 聴覚、言語機能、音声機能、視覚等の障害のため、意思疎通を図ることに支障がある人とその他の人の意思疎通を仲介するために、手話通訳や要約筆記、点訳等を行う者の派遣などを行います
日常生活用具給付等事業 重度障害のある人等に対し、自立生活支援用具等日常生活用具の給付又は貸与を行います
移動支援事業 屋外での移動が困難な障害のある人について、外出のための支援を行います
地域活動支援センター 障害のある人が通い、創作的活動又は生産活動の提供、社会との交流の促進等の便宜を図ります
その他の事業 市町村の判断により、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な事業を行います
例: 福祉ホーム事業、訪問入浴サービス事業、日中一時支援事業、社会参加促進事業 等
都道府県事業
専門性の高い相談支援事業 発達障害、高次脳機能障害など専門性の高い障害について、相談に応じ、必要な情報提供等を行います
広域的な支援事業 都道府県相談支援体制整備事業など市町村域を超えて広域的な支援が必要な事業を行います
その他の事業
(研修事業を含む)
都道府県の判断により、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な事業を行います
例: 福祉ホーム事業、情報支援等事業、障害者IT総合推進事業、社会参加促進事業 等
また、サービス提供者、指導者などへの研修事業等を行います

3)障害者自立支援サービスの概要図

医療福祉2010年度版総合ガイドブック(編集NPO法人日本医療ソーシャルワーク研究会 医学書院)引用

福祉の豆知識: 第4章 我が国の難病対策

1.概要

症例数が少なく、原因不明で、治療方法が確立しておらず、生活面への長期にわたる支障がある疾患を難病とし、2群の疾患群に分け、5つの対策事業が行われています。
疾患群の一つは難治性疾患克服研究事業の対象130疾患(いわゆる難病)で、もう一群は、特定疾患治療研究事業の対象56疾患(いわゆる特定疾患)です。
対策事業は(1)調査研究の推進、(2)医療施設等の整備、(3)地域における保健・医療福祉の充実・連携、(4)QOLの向上を目指した福祉施策の推進、(5)医療費の自己負担の軽減対策です。

2.難治性疾患克服研究事業対象の130疾患

◎印:病態に眼の障害があります。
○印:二次的病態に眼の障害があります。

疾病
番号
疾患名 疾病
番号
疾患名
1 脊髄小脳変性症 66 拘束型心筋症
2 シャイ・ドレーガー症候群 67 ミトコンドリア病
3 モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症) ○ 68 Fabry病
4 正常圧水頭症 69 家族性突然死症候群
5 多発性硬化症 ○ 70 原発性高脂血症
6 重症筋無力症 71 特発性間質性肺炎
7 ギラン・バレー症候群 72 サルコイドーシス ○
8 フィッシャー症候群 73 びまん性汎細気管支炎
9 慢性炎症性脱髄性多発神経炎 74 潰瘍性大腸炎
10 多巣性運動ニューロパチー(ルイス・サムナー症候群) 75 クローン病
11 単クローン抗体を伴う末梢神経炎 76 自己免疫性肝炎
(クロウ・フカセ症候群)
12 筋萎縮性側索硬化症 77 原発性胆汁性肝硬変
13 脊髄性筋萎縮症 78 劇症肝炎
14 球脊髄性筋萎縮症 79 特発性門脈圧亢進症
15 脊髄空洞症 80 肝外門脈閉塞症
16 パーキンソン病 81 Budd-Chiari症候群
17 ハンチントン病 82 肝内結石症
18 進行性核上性麻痺 83 肝内胆管障害
19 線条体黒質変性症 84 膵嚢胞線維症
20 ペルオキシソーム病 85 重症急性膵炎
21 ライソゾーム病 ○ 86 慢性膵炎
22 クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD) 87 アミロイドーシス
23 ゲルストマン・ストロイスラー・
シャインカー病(GSS)
88 ベーチェット病 ○
24 致死性家族性不眠症 89 全身性エリテマトーデス
25 亜急性硬化性全脳炎(SSPE) 90 多発性筋炎・皮膚筋炎
26 進行性多巣性白質脳症(PML) 91 シェーグレン症候群
27 後縦靭帯骨化症 92 成人スティル病
28 黄色靭帯骨化症 93 高安病(大動脈炎症候群) ○
29 前縦靭帯骨化症 94 バージャー病
30 広範脊柱管狭窄症 95 結節性多発動脈炎
31 特発性大腿骨頭壊死症 96 ウェゲナー肉芽腫症 ○
32 特発性ステロイド性骨壊死症 97 アレルギー性肉芽腫性血管炎
33 網膜色素変性症 ◎ 98 悪性関節リウマチ ○
34 加齢黄斑変性 99 側頭動脈炎
35 難治性視神経症 100 抗リン脂質抗体症候群
36 突発性難聴 101 強皮症
37 特発性両側性感音難聴 102 好酸球性筋膜炎
38 メニエール病 103 硬化性萎縮性苔癬
39 遅発性内リンパ水腫 104 原発性免疫不全症候群
40 PRL分泌異常症 105 若年性肺気腫
41 ゴナドトロピン分泌異常症 106 ランゲルハンス細胞組織球症
42 ADH分泌異常症 107 肥満低換気症候群
43 中枢性摂食異常症 108 肺胞低換気症候群
44 原発性アルドステロン症 109 肺動脈性肺高血圧症
45 偽性低アルドステロン症 110 慢性血栓塞栓性肺高血圧症
46 グルココルチコイド抵抗症 111 混合性結合組織病
47 副腎酵素欠損症 112 神経線維腫症Ⅰ型 ○
(レックリングハウゼン病)
48 副腎低形成(アジソン病) 113 神経線維腫症Ⅱ型 ○
49 偽性副甲状腺機能低下症 114 結節性硬化症(プリングル病)
50 ビタミンD受容機構異常症 115 表皮水疱症
51 TSH受容体異常症 116 膿疱性乾癬
52 甲状腺ホルモン不応症 117 天疱瘡
53 再生不良性貧血 118 大脳皮質基底核変性症
54 溶血性貧血 119 重症多形滲出性紅斑(急性期)
(自己免疫性溶血性貧血・発作性夜間血色素尿症)
55 不応性貧血(骨髄異形成症候群) 120 リンパ脈管筋腫症(LAM)
56 骨髄線維症 121 進行性骨化性線維異形成症(FOP)
57 特発性血栓症 122 色素性乾皮症(XP)
58 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP) 123 スモン ○
59 特発性血小板減少性紫斑病 124 下垂体機能低下症
60 IgA腎症 125 クッシング病
61 急速進行性糸球体腎炎 126 先端巨大症
62 慢難治性ネフローゼ症候群 127 原発性側索硬化症
63 多発性嚢胞腎 128 有棘赤血球を伴う舞踏病
64 肥大型心筋症 129 HTLV-1関連脊髄症(HAM)
65 拡張型心筋症 130 先天性魚鱗癬様紅皮症

※アンダーラインの疾病は「難病情報センター」の各疾患別診断・治療指針にリンクしています。ご参考ください。

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3. 特定疾患治療研究事業対象の56疾患

◎印:病態に眼の障害があります。
○印:二次的病態に眼の障害があります。

疾病
番号
疾患名
1 ベーチェット病 ○
2 多発性硬化症 ○
3 重症筋無力症
4 全身性エリテマトーデス
5 スモン ○
6 再生不良性貧血
7 サルコイドーシス ○
8 筋萎縮性側索硬化症
9 強皮症/皮膚筋炎及び多発性筋炎
10 特発性血小板減少性紫斑病
11 結節性動脈周囲炎
(1)結節性多発動脈炎
(2)顕微鏡的多発血管炎
12 潰瘍性大腸炎
13 大動脈炎症候群 ○
14 ビュルガー病(バージャー病)
15 天疱瘡
16 慢脊髄小脳変性症
17 クローン病
18 難治性肝炎のうち劇症肝炎
19 悪性関節リウマチ ○
20 パーキンソン病関連疾患※1
(1)進行性核上性麻痺
(2)大脳皮質基底核変性症
(3)パーキンソン病
21 アミロイドーシス
22 後縦靱帯骨化症
23 ハンチントン病
24 モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症) ○
25 ウェゲナー肉芽腫症 ○
26 特発性拡張型(うっ血型)心筋症
27 多系統萎縮症 ※2
(1)線条体黒質変性症
(2)オリーブ橋小脳萎縮症
(3)シャイ・ドレーガー症候群
28 表皮水疱症(接合部型及び栄養障害型)
29 膿疱性乾癬
30 広範脊柱管狭窄症
31 原発性胆汁性肝硬変
32 重症急性膵炎
33 特発性大腿骨頭壊死症
34 混合性結合組織病
35 原発性免疫不全症候群
36 特発性間質性肺炎
37 網膜色素変性症 ◎
38 プリオン病
(1)クロイツフェルト・ヤコブ病
(2)ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病
(3)致死性家族性不眠症
39 肺動脈性肺高血圧症
40 神経線維腫症Ⅰ型/神経線維腫症II型 ○
41 亜急性硬化性全脳炎
42 バット・キアリ(Budd-Chiari)症候群
43 慢性血栓塞栓性肺高血圧症
44 ライソゾーム病 ○
(1)ライソゾーム病
(2)ファブリー病
45 副腎白質ジストロフィー ○
46 家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)
47 脊髄性筋萎縮症
48 球脊髄性筋萎縮症
49 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
50 肥大型心筋症
51 拘束型心筋症
52 ミトコンドリア病
53 リンパ脈管筋腫症(LAM)
54 重症多形滲出性紅斑(急性期)
55 黄色靭帯骨化症
56 間脳下垂体機能障害
1.PRL分泌異常症
2.ゴナドトロピン分泌異常症
3.ADH分泌異常症
4.下垂体性TSH分泌異常症
5.クッシング病
6.先端巨大症
7.下垂体機能低下症

※アンダーラインの疾病は「難病情報センター」の各疾患別診断・治療指針にリンクしています。ご参考ください。

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4.医療費の自己負担の軽減の難病対策

特定疾患治療研究事業(対象:56疾患)のうち、重症度が高く患者数が比較的少ない疾患に公費負担制度が適応されます。
重症度が高いとは眼の障害の場合、身障1・2級の認定基準に相当するものであり、かつ長期間(概ね6ヶ月以上)継続するものとされています。
具体的には下記(表1)の表のようになります。ただし国民健康保険の規定による被保険者及び健康保険法、船員保険法、国家公務員等共済組合法、地方公務員等共済組合若しくは私立学校職員共済組合法の規定による被保険者及び被扶養者並びに老人保健法の規定による医療保険に加入している方のみに適応されます。
また他の法令により国又は地方公共団体の負担による医療に関する給付が行われている方は適応外です。

表1

対象部位 症状の状態 例示
眼の機能に著しい障害を有するもの 例両眼の視力の和が0.04以下のもの
両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が95%以上のもの

福祉の豆知識: 第5章 視覚障害に対する身体障害者認定

1.視覚障害の身体障害者等級表

1級 両眼の視力の和が0.01以下のもの
2級 1.両眼の視力の和が0.02以上0.04以下のもの
2.両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が 95%以上のもの
3級 1.両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
2.両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による損失率が90%以上のもの
4級 1.両眼の視力の和が0.09以上0.12以下のもの
2.両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの
5級 1.両眼の視力の和が0.13以上0.2以下のもの
2.両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの
6級 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもので、両眼の視力の和が0.2を越えるもの

2.二つ以上の障害が重複する場合には障害等級がかわります

まず、等級別指数表で重複する障害の各々の等級指数を調べます。
次にこの等級指数を合計し合計指数を出します。合計指数に応じて、重複する障害の最終の認定等級が決まります。
7級の障害は、一つのみでは身体障害者福祉法の対象となりませんが、7級の障害が7級以上の障害と重複する場合は法の対象となります。

障害等級 1級 2級 3級 4級 5級 6級 7級
指数 18 11 7 4 2 1 0.5
合計指数 18以上 11~1 7~10 4~6 2~3 1  
認定等級 1級 2級 3級 4級 5級 6級  

補足

視野障害の視能率を求めるには、視野計を使い8方向の残存視野の角度を測定しそれを合計したうえで、その結果を560で除算します。ここで、560で除算するのは、平均的な日本人の場合、同じ方法で計算するとその合計が560度になるので、それとの比較をしています(図2、表2)。
視機能が健常であれば視能率は100%となります。また、視力が全くない場合は、視能率は0%となります。

図2

表2
上外 外下 下内 内上 計① 視能率② 損失率③
60度 75度 95度 80度 70度 60度 60度 60度 560度 100%(①÷560×100) 0%(100-②)

例えば、中心部の半径10度の円内だけが見え、その周囲はまったく見えないような求心狭窄の場合を計算してみますと、
(560-80)/560×100=86%の損失率となります(図3、表3)。

図3

表3
上外 外下 下内 内上 計① 視能率② 損失率③
10度 10度 10度 10度 10度 10度 10度 10度 80度 14%(①÷560×100) 86%(100-②)

福祉の豆知識: 第6章 眼の障害者への国および自治体の経済支援

  1. 医療費自己負担が軽くなる制度
  2. 自立支援医療制度
  3. 手当・扶養手当・扶養共済制度
  4. 補装具費支給制度と日常生活用具給付等事業
  5. 視覚障害が利用できる支援制度一覧
  6. 眼に障害がある方が受け取れる障害年金
  7. 労災で眼に障害を受けた場合の障害補償給付

1. 医療費自己負担が軽くなる制度

2. 自立支援医療制度

従来の障害に係る公費負担医療(更生医療<身体障害者福祉法>、育成医療<児童福祉法>、精神通院医療<精神保健福祉法>)が、自立支援医療に変わりました。
自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。基本は1割の定率負担ですが、低所得世帯の方だけでなく、一定の負担能力があっても、継続的に相当額の医療費負担が生じる人々(高額治療継続者<いわゆる「重度かつ継続>)にもひと月当たりの負担に上限額を設定するなどの負担軽減策を講じています。入院時の食事療養費又は生活療養費については、入院と通院の公平を図る視点から原則自己負担となります。

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3. 手当・扶養手当・扶養共済制度

1)特別障害者手当

精神又は身体に著しく重度の障害を有するため、日常生活において常時特別の介護を必要とする状態にある在宅の20歳以上の人に支給されます。視覚障害の場合、両眼の視力の和が0.04以下の場合(手帳1・2級相当)、月額26,440円/月が支給されるようです。

2)障害児福祉手当

精神又は身体に重度の障害を有するため、日常生活において常時の介護を必要とする状態にある在宅の20歳未満の人に支給されます。視覚障害の場合、両眼の視力の和が0.02以下の場合(手帳1・2級相当)、月額 14,430円が支給されるようです。

3)特別児童扶養手当

20歳未満で精神又は身体に障害を有する児童を家庭で監護、養育している父母等に支給されます。視覚障害の場合、両眼の視力の和が0.04以下の身体障害者手帳の概ね1級・2級程度に該当するものを1級とし月額50,750円、両眼の視力の和が0.08以下の身体障害者手帳の概ね3級程度に該当するものを2級とし月額33,800円が支給されるようです。

※補足

障害福祉とは関係なく、他に「児童扶養手当」、「子ども手当」(以前の児童手当)があります。「児童扶養手当」は母子家庭の生活の安定と自立の促進を通して児童の福祉の増進を図ることを目的とする福祉制度です。子ども手当は15歳の4月1日の前日までの子どもの保護者に対し手当が支給される制度です。

4)心身障害者扶養共済制度

この制度は、心身障害者の保護者の相互扶助の精神に基づき、保護者が生存中掛金を納付することにより、保護者が死亡した場合などに障害者に終身年金を支給する任意加入の制度です。
対象者は、(1)身体障害者手帳1~3級を所持する人、(2)知的障害者(児)、(3)精神または身体の障害で、前2項と同程度と認められる人。保護者の加入要件は、65歳未満で、特別な疾病や障害がないこととなっています。年金額は1口当たり2万円。

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4. 補装具費支給制度と日常生活用具給付等事業

1)視覚障害のある方への「補装具」の支給

補装具とは障害者等の身体機能を補完し、又は代替し、かつ、長期間にわたり継続して使用されるもので、義肢、装具、車いす等です。視覚障害者の種目は表1に示します。
平成18年9月までの現物支給から、購入費の支給へと大きく変わりました。利用者負担についても定率負担となり、1割を利用者が負担することとなりました。
ただし、所得に応じて一定の負担上限が設定されます。対象者は補装具を必要とする障害者、障害児です。

※介護保険制度対象者は、介護保険が優先です。

2)視覚障害のある方への「日常生活用具」の給付

日常生活用具給付等事業は、重度障害者等の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付又は貸与しています。種目は次の表1に示します。対象者は日常生活用具を必要とする障害者、障害児です。

[表1] 補装具と日常生活用具の種類
種目 障害及び程度 性能
補装具―視覚障害者用
眼鏡 視覚障害者(児) 矯正眼鏡、コンタクトレンズ、遮光眼鏡、弱視眼鏡
その他 視覚障害者(児) 盲人安全杖、義眼
日常生活用具―(1)視覚障害者用
視覚障害者用
ポータブル
レコーダー
視覚障害2級以上 音声等により操作ボタンが知覚又は認識でき、かつ、DAISY方式による録音並びに当該方式により記録された図書の再生が可能な製品であって、視覚障害者が容易に使用し得るもの
盲人用時計 視覚障害2級以上。なお、音声時計は、手指の触覚に障害がある等のため触読式時計の使用が困難な者を原則とする 視覚障害者が容易に使用し得るもの
点字タイプ
ライター
視覚障害2級以上(本人が就労もしくは就学しているか又は就労が見込まれる者に限る) 視覚障害者が容易に使用し得るもの
電磁調理器 視覚障害2級以上並びに重度又は最重度の知的障害児・者 視覚障害者等が容易に使用し得るもの
盲人用体温計
(音声式)
視覚障害2級以上(盲人のみの世帯及びこれに準ずる世帯) 視覚障害者が容易に使用し得るもの
点字図書 主に情報の入手を点字によっている視覚障害者(別途定めあり) 点字により作成された図書
盲人用体重計 視覚障害2級以上(盲人のみの世帯及びこれに準ずる世帯) 視覚障害者が容易に使用し得るもの
視覚障害者用
拡大読書器
視覚障害者であって、本装置により文字等を読むことが可能になる者 画像入力装置を読みたいもの(印刷物等)の上に置くことで、簡単に拡大された画像(文字等)をモニターに映し出せるもの
歩行時間延長信号機用小型送信機 視覚障害2級以上 視覚障害者が容易に使用し得るもの
点字ディスプレイ 視覚障害及び聴覚障害の重度重複障害者(原則として視覚障害2級以上かつ聴覚障害2級)の身体障害者であって、必要と認められる者 文字等のコンピュータの画面情報を点字等により示すことのできるもの
視覚障害者用活字文書読上げ装置(商品名スピーチオ) 視覚障害2級以上 文字情報と同一紙面上に記載された当該文字情報を暗号化した情報を読み取り、音声信号に変換して出力する機能を有するもので、視覚障害者が容易に使用し得るもの
日常生活用具―(2)各障害者共通用
火災警報器 障害等級2級以上並びに重度又は最重度の知的障害児・者(火災発生の感知及び避難が著しく困難な障害者のみの世帯及びこれに準ずる世帯) 室内の火災を煙又は熱により感知し、音又は光を発し屋外にも警報ブザーで知らせ得るもの
自動消火器 同上 室内温度の異常上昇又は炎の接触で自動的に消火液を噴射し初期火災を消火し得るもの

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5. 視覚障害が利用できる支援制度一覧

盲導犬の給付
身体障害者世帯公営住宅
療養援護事業
障害基礎年金(1・2搬)
自立支援医療(旧更生医環)
自立支援医療(旧精神通院医療) ×
障害者医療費補助
特別児童扶養手当
特別障害者手当
心身障害者扶養共済年金
障害者住宅整備資金貸付
生活福祉資金の貸付
補装具の交付
日常生活用具の給付
自動車運転免許取得費の助成
自動車改造費の助成 ×
所得税・住民税の軽減
相続税の軽減
自動車税・自動車取得税の免除(本人が運転)
自動車税・自動車取得税の免除(同一生計者が運転)
新マル優制度
タクシー運賃の割引
福祉タクシーの助成
JR
パス・電車
有料道路の割引
NHKspan放送受信 全額免除
NHKspan放送受信 半額免除
公共施設の無料入園等
駐車禁止規制の適応除外
公営住宅への有利な入居,当選率の優遇
NTTの無料番号案内
携帯電話利用料の割引

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6. 眼に障害がある方が受け取れる障害年金

眼の障害は、視力障害、視野障害、まぶたの欠損障害、両眼の調節機能及び輻輳機能の障害に区分されます。一定の障害基準以上の方に、障害年金・手当が給付されます。年金給付においては国民年金法施行令別表または厚生年金保険法施行令別表第一に基準が示されています。また、障害手当金については厚生年金保険法施行令別表第二に示されています。
具体的には国民年金からは障害等級1級・2級の障害の方には障害基礎年金が、厚生年金保険(共済年金)からは障害基礎年金に上乗せする1級・2級の障害厚生年金(障害共済年金)が支給されます。また、厚生年金保険(共済年金)であれば、3級の方にも障害厚生年金(障害共済年金)または障害手当金(障害一時金)が支給されます。
また、厚生年金保険法施行令別表第二に定められた障害の程度であっても、初診日から1年6ヵ月を経過した障害認定日において、傷病が治っていない(固定していない)ものと認められるときは障害厚生年金(3級)が支給されます。

国民年金・厚生年金保険障害認定基準 障害等級1級

番号 障害の状態
1 両眼の視力の和が0.04以下のもの
2 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
3 両上肢の機能に著しい障害を有するもの
4 両上肢のすべての指を欠くもの
5 両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
6 両下肢の機能に著しい障害を有するもの
7 両下肢を足関節以上で欠くもの
8 体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの
9 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状が前各号と同程度以上と認められる状態であって日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
10 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
11 身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの

国民年金・厚生年金保険障害認定基準 障害等級2級

番号 障害の状態
1 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
2 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
3 平衡機能に著しい障害を有するもの
4 そしゃくの機能を欠くもの
5 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの
6 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの
7 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの
8 1上肢の機能に著しい障害を有するもの
9 1上肢のすべての指を欠くもの
10 1上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
11 両下肢のすべての指を欠くもの
12 1下肢の機能に著しい障害を有するもの
13 1下肢を足関節以上で欠くもの
14 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
15 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は、日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
16 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
17 身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの

国民年金・厚生年金保険障害認定基準 障害等級3級

番号 障害の状態
1 両眼の視力が0.1以下に減じたもの
2 両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの
3 そしゃく又は言語の機能に相当程度の障害を残すもの
4 脊柱の機能に著しい障害を残すもの
5 1上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
6 1下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
7 長管状骨に疑関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
8 1上肢のおや指及びひとさし指を失ったもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ、1上肢の3指以上を失ったもの
9 おや指及びひとさし指を併せ1上肢の4指の用を廃したもの
10 1下肢をリスフラン関節以上で失ったもの
11 両下肢の十しの用を廃したもの
12 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
13 精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
14 障害が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであって、厚生大臣が定めるもの

国民年金・厚生年金保険障害認定基準 障害手当金

番号 障害の状態
1 両眼の視力が0.6以下に減じたもの
2 1眼の視力が0.1以下に減じたもの
3 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの
5 両眼の調節機能及び輻輳(ふくそう)機能に著しい障害を残すもの
6 1耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの
7 そしゃく又は言語の機能に障害を残すもの
8 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
9 脊柱の機能に障害を残すもの
10 1上肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの
11 1下肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの
12 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
13 長管状骨に著しい転移変形を残すもの
14 1上肢の2指以上を失ったもの
15 1上肢のひとさし指を失ったもの
16 1上肢の3指以上の用を廃したもの
17 ひとさし指を併せ1上肢の2指の用を廃したもの
18 1上肢のおや指の用を廃したもの
19 1下肢の第1し又は他の4し以上を失ったもの
20 1下肢の5しの用を廃したもの
21 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
22 精神又は神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

※視力は、眼鏡またはコンタクトレンズによって矯正された視力により認定します。

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7. 労災で眼に障害を受けた場合の障害補償給付

1)労災保険とは

業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度です。業務災害又は通勤災害による傷病が治った後に障害等級第1級から第7級までに該当する障害が残ったときには、障害補償年金・障害年金が受けられます。障害等級第8級から第14級までに該当する障害が残ったときには、障害補償一時金・障害一時金が受けられます。

労災・障害等級早見表(眼科関連のみ抜粋)
部位 障害種別 第1級 第2級 第3級 第4級 第5級 第6級 第7級 第8級 第9級 第10級 第11級 第12級 第13級 第14級 系列番号
年金313日 年金277日 年金245日 年金213日 年金184日 年金156日 年金131日 一時金503日 一時金391日 一時金302日 一時金223日 一時金156日 一時金101日 一時金56日
眼球(両眼) 視力障害 (1)両眼が失明したもの (1)1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの(2)両眼の視力が0.02以下になったもの (1)1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの (1)両眼の視力が0.06以下になったもの (1)1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの (1)両眼の視力が0.1以下になったもの (1)1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの (1)1眼が失明し、又は1眼の眼の視力が0.02以下になったもの (1)両眼の視力が0.6以下になったもの(2)1眼の視力が0.06以下になったもの (1)1眼の視力が0.1以下になったもの     (1)1眼の視力が0.6以下になったもの   1
運動障害                     (1)両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの (1)1眼の眼球に著しい運動障害を残すもの     2
調節機能障害                     (1)両眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの (1)1眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの     3
視野障害                 (3)両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの (1の2)正面視で複視を残すもの     (2)1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
(2の2)正面視以外で複視を残すもの
  4
眼瞼(右又は左) 欠損又は機能障害                 (4)両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの   (2)両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの(3)1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの (2)1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの (3)両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの (1)1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すも 5又は6

※なお表中の第1級年金313日の313日とは給付基礎日額313日分の年金という意味です。

補足
  • 視力の測定
    障害等級表にいう視力とは、矯正視力をいう。したがって、眼鏡により矯正した視力について測定することとなります(コンタクトレンズにより矯正した視力を除く)。ただし、視力の矯正によって不等像症(左右両眼の届折状態等が異なるため、左眼と右眼の網膜に映ずる像の大きさ、形が異なるものをいう)を生じ、両眼視が困難となることが医学的に認められる場合には、裸眼(人工水晶体を移植したものを含む)視力によることとなります。例えば、右眼の視力が1.5、左眼の視力が0.05(第9級)で視力差が甚だしいため、眼鏡による矯正は事実上不可能であるがコンタクトレンズを使用すれば、視力1.2まで矯正できるような場合にあっては裸眼視力によって等級を認定する。
  • 両眼の視力障害について
    障害等級表に掲げている両眼の視力障害の該当する等級をもって設定し、1眼ごとの等級を定め併合繰上の方法を用いて準用等級を定める取扱いは行われません。ただし、両眼の該当する等級よりも、いずれか1眼の該当する等級が上位である場合は、その1眼のみに障害が存するものとみなして、等級を認定することとなります。例えば、1眼の視力が0.5、他眼の視力が0.02である場合は、両眼の視力障害としては第9級の1に該当するが、1眼の視力障害としては第8級の1に該当し、両眼の場合の等級よりも上位であるので、第8級の1となります
  • 眼瞼の障害
    「まぶたに著しい欠損を残すもの」とは、閉瞼時(普通に眼瞼を閉じた場合)に、角膜を完全におおい得ない程度のものをいう。「まぶたの一部に欠損を残すもの」とは、閉瞼時に角膜を完全におおうことができるが、球結膜(しろめ)が露出している程度のものをいう。「まつげはげを残すもの」とは、まつげ縁(まつげのはえている周縁)の1/2以上にわたってまつげのはげを残すものをいう。「まぶたに著しい運動障害を残すもの」とは、開瞼時(普通に開瞼した場合)に瞳孔領を完全におおうもの又は閉瞼時に角膜を完全におおい得ないものをいう。
  • 外傷性散瞳について
    1眼の瞳孔の対光反射が著しく障害され、著明な差明を訴え労働に著しく支障をきたすものについては、第12級を準用することとする。1眼の瞳孔の対光反射はあるが不十分であり、差明を訴え労働に支障をきたすものについては、第14級を準用することとなる。外傷性散瞳と視力障害又は調節機能障害が存する場合は、併合の方法を用いて準用等級を定めることとなる。なお、散瞳(病的)とは、瞳孔の直径が開大して対光反応が消失又は減弱するものをいう。

2)アフターケアとは

症状固定した後であっても傷病によっては保健上の措置等を必要とする場合があります。
労災保険ではこれらの措置等を必要とする方(障害(補償)給付を支給された方)に対しアフターケアを実施しています。眼科関連としては、「白内障等の眼疾患に係るアフターケア」があります。白内障等の眼疾患に罹患した方は、その症状が固定した後においても視機能に動揺をきたす恐れがあることからアフターケアを行う制度です。

(1)アフターケア対象者

業務災害又は通勤災害による白内障、緑内障、網膜剥離、角膜疾患等の眼疾患の傷病者で、労災保険法による障害(補償)給付を受けている方又は受けると見込まれる方(傷病が治癒した方に限ります)のうち、医学的に早期にアフターケアの実施が必要であると認められる方。
障害(補償)給付を受けられていない方(傷病が治癒した方に限ります)であっても、医学的に特に必要と認められる方

(2)アフターケア期間

原則として治癒後2年間ですが、医学的に継続してアフターケアを受ける必要があると認められる方は、引き続き受けることができます。

(3)範囲

診察は原則として1ヶ月に1回程度。
診察の都度検査として、(1)視力検査、(2)屈折検査、(3)細隙燈顕微鏡検査、(4)前房隅角検査、(5)精密眼圧測定、(6)精密眼底検査、(7)量的視野検査、があります。
薬剤の支給として、(1)白内障点眼剤、(2)眼圧降下剤、(3)その他医師が必要と認める点眼剤、とされています。

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