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網膜剥離

網膜のしくみ

網膜は眼球の後方にあって、カメラでいうとフィルムにあたります。網膜は神経細胞の集まりでたくさんの栄養を必要とします。網膜には図のように血管が走っていて、酸素や栄養が運ばれています。網膜の下にある 脈絡網膜という組織からも栄養の供給を受けます。網膜は10層の組織から構成されていて、最も深い層(脈絡膜側)を網膜色素上皮と呼びます。

写真:網膜のしくみ

網膜剥離とは

網膜色素上皮層(もうまくしきそじょうひそう)は、ほかの網膜層との接着が弱いので、何らかの原因でそこがはがれてしまう状態をいいます。網膜剥離が生じると、網膜細胞に栄養が届かずダメージを受けて元に戻りにくいので、早期に手術を行って網膜を元の位置に戻さなければなりません。網膜に裂け目を伴う網膜剥離は、裂孔原性網膜剥離(れっこうげんせいもうまくはくり)と呼ばれます。

写真:網膜が引っ張られて裂け目(網膜裂孔)を作る 裂孔から水(液化した硝子体)が入り込み網膜がはがれる

症状

初期には、小さなゴミのようなものが見えたり(飛蚊症)視界の中に閃光のようなものが見えたり(光視症)することがありますが、無症状のこともあります。
病状が進んでくると、カーテンをかぶせられたように見えにくくなる視野欠損や視力低下が起きます。網膜には痛覚がないので痛みはありません。放置すると失明につながります。

治療

網膜裂孔・円孔だけで網膜剥離がなければ、レーザーによる網膜光凝固術や網膜冷凍凝固術で網膜剥離への進行が抑えられることもあります。すでに網膜剥離が発生してしまった場合は手術が必要となります。

手術は大きく分けて2つの方法があります。どちらの方法を選ぶかは、網膜剥離の症状や程度、また年齢や白内障の有無などを考慮して決定します。術前に担当医とよく相談しましょう。
手術療法によって多くの場合、網膜を復位させることができますが、一度の手術で網膜が復位しないために、複数回の手術を必要とすることもあります。
また重症例は、剥離した網膜上に増殖膜が形成される難治な状態(増殖性硝子体網膜症)となり、最大限に手を尽くしても残念ながら失明してしまう場合もあります。

① 網膜復位術(強膜内陥術)

写真:網膜の孔に裏打ちするようにあてたもの 眼の外側(白目・強膜)から網膜の裂孔に相当する部分にあて物をあてて、さらに裂孔の周りに光凝固や冷凍凝固を行って、網膜をはがれにくくする方法です。必要に応じて、網膜の下にたまった水を抜いたり、あて物を眼球の一部にするだけでなく、はちまきをするように輪状に縛ったりすることもあります。また、はがれた網膜を眼の中(硝子体腔)から押さえつけるために、眼内に空気や特殊なガスを注入することもあり、この場合は手術後にうつぶせなどの体位制限を伴う安静が必要です。

写真:うつぶせ姿勢

② 硝子体手術(硝子体茎顕微鏡下離断術)

写真:硝子体手術 もう一つの方法は、目の中に細い手術器具を入れ、目の中から網膜剥離を治療する方法です。

硝子体手術の場合、眼内にガスや空気、場合により、シリコンオイルを注入することがあります。

この場合もはがれた網膜を眼の中(硝子体腔)から押さえつけるために、手術後にうつぶせなどの体位制限を伴う安静が必要です。

病気回復に必要なのは「早期発見、早期治療」です。

通常の生活では、両眼でものを見ているので片眼の変化に気づきにくいものです。定期的な診察は早期発見につながります。特に視野の中心の見え方がおかしいとき、めがねを合わせても見えにくさが変わらないときは、早めに眼科医に相談しましょう。

なお、眼底検査は目薬によって瞳をひろげて(散瞳)行いますので、検査後は、まぶしかったりピントがあわなかったりします。危険防止のため車でのご来院はご遠慮いただき、公共交通機関のご利用をお願いします。

<監修:上野 暁史>