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特徴

眼とスポーツ

最近、スポーツビジョンという言葉を聞かれる方も、多いのではないでしょうか。 大リーグのイチロー選手のように、海外において大活躍をしている選手の中に、スポーツビジョンのトレーニングがあったなど、様々な報道による影響からかもしれません。 私たちは、情報の80%以上は眼から得られているといわれています。野球にかぎらず、一瞬の状況において的確な判断とすばやい動きを求められるスポーツにおいて、眼はとても大切な感覚器官なのです。 では、「スポーツビジョン」とはなんでしょうか。

「スポーツビジョン」ってなんだろう

スポーツビジョンとは、スポーツと視覚の関係を総合的に研究する学問であると言われています。1970年代にアメリカのオプトメトリスト(検眼医)の研究会において初めてスポーツビジョンの発表がありました。1980年代にはロサンゼルスオリンピックでその成果が発揮され、アメリカではスポーツビジョンの時代が到来しました。
日本では、1986年にアメリカ・オプトメトリック協会のスミス氏が来日して、スポーツビジョンについて講演しました。その後、日本にも1988年にスポーツビジョン研究会が設立されました。この研究会は、イチロー選手がオリックスの時代にスポーツビジョンの評価をおこない、抜群の成績だったと報告したことは有名な話です。
スポーツビジョンの基本の考えは、次のとおりです。

  • 最適な視力の補正(屈折異常がある場合はメガネやコントクトレンズの矯正)
  • スポーツによるけがの防止(保護眼鏡の使用や危険なルールの改正の提言)
  • 視機能評価(スポーツ競技者の眼の能力の評価)
  • ビジュアルトレーニング(眼の能力を最大に発揮させるための訓練)

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スポーツで大切な眼のはたらき

たとえば、野球でピッチャーが150キロで投げたボールは、0.3から0.4秒でキャッチャーのミットにとどきます。そのまばたきとも思えるわずかな時間の中で、バッターはストレートかカーブかなどの球種とコースを見極めスウィングして打ち返しているのです。この眼のはたらきは実に神秘的ともいえます。瞬間の眼の動き、遠近感、中心部と周辺を一緒に見ることができる眼の活用など日頃のきびしい練習の中で会得してプレーに臨んでいるわけです。
スポーツにおいて特に大切な眼のはたらきは次のとおりです。

  • 静止視力(どこまで小さな視標がみえているか)
  • 前後の動体視力(遠方から接近する目標にピントを合わせる力)
  • 水平の動体視力(目の前を横に動く目標を眼で追う力)
  • コントラスト感度(白黒の微妙なコントラストを認知する力)
  • 眼球運動(跳躍的に動く目標に視線を合わせる力)
  • 深視力(距離の差を感じる力)
  • 瞬間視(一瞬のうちにどれだけ情報を得るか)
  • 眼と手の協応動作(眼でとらえた目標に手で反応する力)

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だれにでもできる眼のトレーニング

スポーツビジョンのトレーニングは特別なものではなく誰にでもできます。 スポーツをする前に、少し時間をとってやってみてください。もしかするとあなたもイチロー選手のようになれるかもしれませんよ。

写真:だれにでもできる眼のトレーニング

1) 指を利用する方法

右手の人差し指を眼の前30cmくらいのところに、立ててみてください。 その指をゆっくりと左右に動かして眼で追いかけてください。みなさんは簡単に追うことができると思います。では、少し早めに左右に動かしてみてください。指が何本もあるようにみえてはいけません。確実に眼で追いかける事ができているならば指は1本のはずです。そしてさらにスピードを徐々にあげてみてください。うまくできるようになると、上下、斜めにもチャレンジしてみてください。

2) カレンダーを利用する方法

横幅が30cmくらいの1ヶ月ごとのカレンダーを用意してください。自分の眼の高さに貼り、1mくらい離れてください。一番上第1週の日曜日をみて、次に同じ週の土曜日をみてください。それを繰り返します。これもだれにでもできると思います。では次に、第1週の日曜日は変えずに、第2週の土曜日、第3週の土曜日と下にずらして行ってください。それを何度もできるだけ早く繰り返してみてください。人間の眼は水平だけだと意外と早く眼を動かすことはできますが、水平にさらに上下運動が加わると、うまく動くことができなくなる性質があります。上手にできたら、次に反対に第1週の土曜日を変えずに月曜日を第1週、第2週と下にずらしてやってみてください。ただ眼を動かすだけでなく数字をしっかりとみることが大切です。これを毎日繰り返すだけで、瞬時の状況の変化に眼がすばやく対応できるようになってきます。

写真:カレンダーを利用する方法 スポーツビジョンについては現在、様々な分野で研究がすすめられています。スポーツを行う上では、当然眼の能力だけでなく、競技者の身体能力、メンタル能力、経験など多様な能力が要求されます。スポーツを愛する方々に対して安心・安全なスポーツをしていただけるように、これからも眼科の立場からスポーツビジョンをとおして応援してまいります。 大島眼科病院では、オリンパス社製のアイウェアの器械を用いてスポーツビジョンの体験を行っています。どうぞ、なんでも気楽にご相談ください。